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建設業法の改正によって何がどう変わるのか?【令和2年の改正点を解説】

建設業法の改正によって何がどう変わるのか?【令和2年の改正点を解説】

福島県の行政書士、佐藤勇太です。
令和2年10月1日より、建設業法が改正されます。

「どんなところが改正されるの?」
「ウチの会社に何か影響はあるの?」

と、今回の建設業法改正が気になっている建設業者様もいらっしゃるのではないでしょうか。


今回の改正は主に「建設業を若者にとって魅力ある業界にする」「持続可能な事業活動を確保する」といった背景があります。
日々、工事を請け負う建設業者様にとってどんな影響が出てくるのか、今回の改正点についてできるだけ分かりやすくまとめました。

改正の背景

働き方改革の推進と生産性向上への取り組み

少子高齢化の進行は建設業においては他の産業より顕著で、若年技能者や労働者が不足し、技術の伝承が困難になっているという課題があります。
その主要な原因の一つとして、建設現場における長時間労働や社会保険の未加入の問題があります。
(建設業界では週休2日が実現していないのが「普通」です)
「働き方改革」を建設業界において進めていき、生産性を向上させ、若者にとって魅力ある業界へと変えていくことでこの課題を解決していく必要があります。

持続可能な事業活動の確保(災害への対応)


少子高齢化や生産年齢人口の減少は、企業の事業活動の継続にも影響を及ぼしています。
後継者不足により事業の継続が困難になるケースが増加しており、「事業承継」が日本全体のキーワードとなっており、建設業界も例外ではありません。
ご存じの通り、近年は台風や地震等の災害が甚大となっております。建設業者は日本の津々浦々に存在し、地域の守り手としての役割を果しています。
建設業者の事業承継がスムーズに行われるようにすることも喫緊の課題です。

企業の活動はスピード感を増しており、大企業等においては組織の再編や職制の改革、子会社化による企業グループの形成などが進行しています。
そういった企業においては役員の交代も頻繁に行われており、建設業許可を維持する上で必要な「経営業務の管理責任者(経管)」の要件を充足し続けるのが困難な状況が生じるようになってきました。

法改正による変化について

では、令和2年10月から具体的に何がどう変わるのでしょうか?
①働き方改革の推進と生産性向上の取り組み
②持続可能な事業活動の確保(災害時の対応)の順に解説します。

働き方改革

①働き方改革の推進と生産性向上への取り組みに関して

他の産業よりも高齢化が進んでいる建設業界が、若者にとって魅力ある産業となるためには、労働時間や賃金等の労働環境を整備していく必要があります。
「働き方改革の推進」と「生産性向上の取り組み」が促されるような法改正が行われます。

働き方改革の推進

まずは長時間労働の是正について、中央建設業審議会が、7月20日に工期に関する基準を作成・勧告しています。
詳しくはこちらをご覧ください。➡工期に関する基準(中央建設審議会決定) 

この基準に適合しないような著しく短い工期による請負契約の締結を禁止され、違反者には行政から勧告等が行われるようになります。
また、建設業者は建設工事の請負契約書の中に「工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容」を盛り込まなければならなくなります。
場合によっては、これまで使っていた工事請負契約書の見直しを行わなければならないこともありますので、建設業者様は契約書について念のため確認するようにしてください。

また、現場での処遇改善のために建設業許可の基準を見直し、社会保険への加入が要件化されます。必要な社会保険に加入していなければ、新規の許可や許可の更新が受けられなくなるのです。
それに加えて、下請代金のうち、法定福利費を含めた労務費相当分については現金で支払わなければならなくなります。下請労働者の処遇を改善するためです。

生産性向上の取り組み

現場での生産性向上に関しては、次の2点が改正となります。
まずは元請の管理技術者を補佐する制度を創設されます。「技士補」の資格を持つ者を配置すれば、管理技術者が複数の現場を兼任することができるようになります。
そして、下請の技術者に関して、一定のケースにおいて主任技術者の配置が不要になる制度が創設されます。この制度では「鉄筋工事」と「型枠工事」で、下請契約の請負代金の額が3500万円未満の場合が想定されています。
これらの改正は、限りある人材の有効活用と若者の入職促進のためになされるものです。


(国土交通省の資料より)

②持続可能な事業活動に関して

建設業は国土のインフラを整えたり、災害時に「地域の守り手」となったり、これからも国の基幹産業であり続けなければなりません。建設業が時代に沿った形で発展していくためには、事業活動が持続するように制度を変えていく必要があります。
今回の法改正では、「経営業務の管理責任者」の配置の規制が緩和され、法人の事業承継や個人事業者の事業の相続が円滑に行われるようになりました。

舗装工事現場

経営業務の管理責任者の配置の規制緩和

従来、建設業許可を取得・維持するために置かなければならない「経営業務の管理責任者(経管)」には、「建設業」の経営経験(5年以上)が求められてきました。
そのため、建設業者以外の事業者が建設業に参入しようとしても、経管の要件が満たされず、建設業許可を取得することが困難な状況でした。
また、すでに許可を保有している建設業者においても、後継者不足等に理由により、経管の要件を維持することが難しくなってきています。
そこで今回の改正により、「建設業」の経営経験しか認められなかったものが、「他業種」の経営経験まで認められるようになり、建設業の「経営経験」しか認められなかったものが、建設業の「管理職経験」も認められるようになりました。
※この場合、役員を補佐する者を配置し、事業者全体として適切な経営管理責任体制を構築しなければなりません。

つまり、建設業許可を取得・維持するための要件が緩和されたことになります。「ウチの会社で許可を取るのは無理」と諦めていた事業者様も、今回の改正により許可を取得できる可能性が出るかもしれません。
許可の取得でお悩みの事業者様は、行政の窓口や、建設業に詳しい行政書士に相談して、改正後に許可が取れるか一度確認してみるのもよいでしょう。

事業承継・相続の円滑化

従来は、事業譲渡が行われる場合、譲渡しようとする会社はいったん建設業を廃業し、譲渡を受ける会社が新たに建設業許可を取得する制度設計となっていました。
そのため、新たな許可が下りるまでの間、譲渡しようとする会社が持っていた許可業種において、「許可の空白」が生じてしまっていました。
今回の法改正により、事前に許可行政庁の認可を受けることで、これまでできなかった建設業許可の承継が可能になります。譲渡後に存続する会社は、消滅する会社の持っていた許可を空白なしに引き継げることになったのです。

個人事業主の相続による事業承継においても、相続発生後に許可行政庁に相続の認可を申請することにより、相続人は空白期間なしに被相続人の許可を承継することができるようになります。

前述の経営業務の管理責任者の要件緩和と合わせて、事業承継についても道が広がったことになります。事業の承継で悩まされていた建設業者様も、行政の窓口や建設業に詳しい行政書士に相談して、法改正によって許可の引継ぎが可能か、確認をとってみるとよいでしょう。

終わりに

最後までお読みいただきありがとうございました。
細かな点でこの記事に書けなかった改正もありますが、主要なものについてはお伝えできたのではないかと思います。
もし、ご不明な点があればこのサイトのお問い合わせフォームやお電話等でどうぞご質問ください。無料にて対応させていただきます。

アゴラ行政事務所では、建設業許可申請や変更届の提出などの手続きの他に、建設業者様に対するコンプライアンス(法令)研修もさせていただいております。
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