福島県で建設業許可の業種を追加したい方へ
福島県の行政書士、佐藤勇太です。
福島県で建設業許可をお持ちの建設業者様の中から、許可を持っていない業種の工事をやってもいいのかというご質問を受けることがあります。
基本的には500万円未満の軽微な工事であれば許可を取得していない業種の工事であっても請け負うことができますが、500万円以上の工事をしたいのであれば業種追加の手続きが必要になります。
この記事では、建設業許可の業種の追加について、その注意点や要件、福島県における手続きについて解説します。
うっかりして許可を受けていない業種で500万円以上の工事を請け負ってしまうと無許可営業となり、建設業法に違反することになってしまいます。
そのような状況に陥らないようしっかりと備えておきましょう。
業種追加における注意点(福島県を例に)
冒頭で述べたとおり、その業種の建設業許可がなくても、500万円(建築一式では1500万円)未満の工事を請け負うことは可能です。
しかし、業種を追加することによって、逆に軽微な建設工事を請け負えなくなる場合があります。
それはいったいどのような場合なのでしょうか。
具体的な事例を想定して解説したいと思います。
A社は福島県に本店があり宮城県に支店があり、建築工事業で福島県知事の許可を受けています。
宮城県の支店は営業所としての届出がなされていません。
(宮城県の支店が営業所に該当する場合は、福島県知事許可ではなく国土交通大臣許可が必要です。)
この場合、宮城県の支店では建築一式工事は請け負えませんが、500万円未満の内装仕上工事であれば請け負うことができます。
A社はこの時点では内装仕上工事の許可業者ではないからです。
その後A社が業種の追加により内装仕上工事業の福島県知事許可を受けるとどうなるでしょうか。
この場合、宮城県の支店では、500万円未満の工事であっても、内装仕上工事の請負契約を締結することができなくなってしまいます。
いったん許可を受けた業種については、軽微な建設工事のみを請け負う場合であっても、届出をしている営業所以外においては当該業種について営業することはできないからです。(建設業許可事務ガイドラインより)
A社が宮城県の支店で建築一式工事や内装仕上工事の請負契約や見積り等を行おうとする場合は、国土交通大臣への許可換えの手続きが必要になります。
建設業許可の業種追加の要件
それでは建設業許可の業種を追加するときに、どのような要件を満たしていないといけないかについて解説していきたいと思います。
建設業許可は業種ごとになされるので、追加する業種について新たに許可を申請するという考え方になります。
業種追加の要件も新規に許可を受ける場合と変わりはなく、以下の要件に該当することが許可の要件になります。
- 適正な経営体制を整えていること
- 専任の技術者がいること
- 請負契約に関して誠実性を有していること
- 財産的基礎又は金銭的信用があること
- 欠格要件に該当しないこと
- 必要な社会保険に加入していること
適正な経営体制(経営業務管理責任者)
令和2年10月に施行された改正建設業法において、従来の経営業務管理責任者(経管)の要件が緩和されました。
以前は、「許可を受けようとする業種」に関しては5年、「許可を受けようとする業種以外の業種」については6年の経管の経験が求められていましたが、法改正により、業種に関係なく「建設業」の経管の経験が5年あれば要件を満たすようになりました。
従って、新規で許可を受けた際の経営業務管理責任者がまだ常勤の役員として残っていれば、業種の追加の際には自動的に要件をクリアできることになります。
専任技術者
専任技術者の要件については法改正の影響は受けず、従来と同じく「許可を受けようとする業種」についての経験や資格があることが要件とされます。
一般建設業であれば、営業所ごとに以下のいずれかに該当する者を専任で置く必要があります。
- 学校教育法による高校(旧実業学校含む)の所定学科卒業後5年以上、大学(高専・旧専門学校含む)の別表2の所定学科卒業後3年以上の実務経験を有する者
- 10 年以上の実務経験を有する者
- 1.2.と同等以上の能力を有すると認められた者(別表3に掲げる一定の資格を有する者など)
別表2、別表3については福島県の建設業許可申請の手引き(令和2年10月改訂版)のP15、P16をそれぞれご参照ください。
誠実性
誠実性とは「請負契約に関して不正又は不誠実な行為」をするおそれがないことを言います。
「不正」な行為とは、請負契約の締結や履行に際して、法律に違反する行為を行うことを言い、「不誠実」な行為とは、請負契約に違反する行為を行うことを言います。
不正な行為や不誠実な行為をおそれが明らかである場合は許可を受けることができませんが、新規で許可を受けた時から罰則等を受けていなければ、この要件は問題なくクリアできるでしょう。
金銭的基礎または金銭的信用
一般建設業であれば、新規で許可を受ける際には次のいずれかを財務諸表や残高証明書等で証明する必要がありました。
- 自己資本の額が500万円以上あること
- 500万円以上の資金調達能力があること
業種の追加をする際にもこの要件が必要ですが、新規で許可を受けた時から1回でも許可の更新をしていれば、
- 許可申請の直前過去5年間許可を受けて継続して建設業を営業した実績を有すること
という要件をクリアすることになるので、改めて残高証明書等で証明することは不要になります。
(この要件は、事業年度終了後に提出する決算変更届によって確認されます。)
欠格要件
「許可申請書又はその添付書類中、重要な事項について虚偽の記載があったり、重要な事実の記載が欠けているとき」には許可を受けることができません。
事実でないことを事実としたり、事実を隠して申請したりすると業種の追加が許可されません。
また、新規の許可と同様に、会社の役員や個人事業主等が欠格事由に該当しないことも要件となります。
社会保険への加入
令和2年の建設業法改正により、適切な社会保険に加入していることが建設業許可の要件になりました。
今後は業種の追加を行う際にも、必要な社会保険に入っているかどうかがチェックされます。
法人においては常用労働者が1人でもいれば、事業主は健康保険、厚生年金、雇用保険に従業員を加入させる必要があります。
自社の加入の状況を確認しておきましょう。
福島県での業種追加の手続き
建設業許可の業種の追加は、その業種について新たに許可を申請することになるので、申請手続きの流れは新規許可と変わりはありません。
ただし、新型コロナウイルス感染症の影響により、福島県では現在対面での審査は行っておらず、郵送での提出と書面による事前審査が導入されています。
従来よりも審査に時間がかかるおそれがあるため、時間に余裕を持って準備することをお勧めします。
また、新規の許可申請書の内容に変更が生じた場合の「変更届」や事業年度終了後の「決算変更届」がきちんと提出されていないと、業種の追加ができませんのでご注意ください。
福島県での業種追加の必要書類
福島県で建設業許可の業種の追加をする際には以下の書類が必要になります。
- 建設業許可申請書
- 役員の一覧表(法人のみ)
- 営業所一覧表
- 専任技術者一覧表
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 使用人数
- 誓約書
- 成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書
- 身分証明書(本籍地のある市町村発行のもの)
- 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書
- 常勤役員等の略歴書
- 健康保険等の加入状況
- 専任技術者証明書
- 実務経験証明書
- 指導監督的実務経験証明書(特定建設業の場合のみ)
- 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表
- 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書
- 建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書
また、上記の提出書類の内容を確認する資料も必要になります。
業種の追加の場合、追加する業種における専任技術者が新たに選任されることになるので、少なくとも次の資料の提示(提出)が求めれれます。
- 常勤性が確認できるもの(健康保険被保険者証の写しなど)
- 技術者の要件に実務経験が必要なものがある場合、実務経験が確認できるもの
福島県での書類の提出窓口
福島県における建設業許可の業種追加の書類提出先(郵送先)は以下のとおりです。
主たる営業所の所在地 | 提出先 | 電話番号 |
---|---|---|
福島市 二本松市 伊達市 本宮市 伊達郡 安達郡 | 〒960-8670 県北建設事務所 行政課 福島市杉妻町2-16 (福島県庁北庁舎6階) | 電話 024-521-2498 FAX 024-521-2849 |
郡山市 須賀川市 田村市 田村郡 岩瀬郡 石川郡 | 〒963-8540 県中建設事務所 行政課 郡山市麓山1丁目1-1 | 電話 024-935-1329 FAX 024-935-1544 |
白河市 西白河郡 東白川郡 | 〒961-0971 県南建設事務所 行政課 白河市昭和町269 | 電話 0248-23-1616 FAX 0248-23-1504 |
会津若松市 大沼郡 河沼郡 | 〒965-8501 会津若松建設事務所 行政課 会津若松市追手町7-5 | 電話 0242-29-5427 FAX 0242-29-5413 |
喜多方市 耶麻郡 | 〒966-0901 喜多方建設事務所 行政課 喜多方市松山町鳥見山字下天神6-3 | 電話 0241-24-5713 FAX 0241-24-5729 |
南会津郡 | 〒967-0004 南会津建設事務所 総務課 南会津郡南会津町田島字根小屋甲4277-1 | 電話 0241-62-5306 FAX 0241-62-5340 |
相馬市 南相馬市 双葉郡 相馬郡 | 〒975-0031 相双建設事務所 行政課 南相馬市原町区錦町1丁目30 | 電話 0244-25-1207 FAX 0244-26-1334 |
いわき市 | 〒970-8026 いわき建設事務所 行政課 いわき市平梅本15 | 電話 0246-24-6109 FAX 0246-24-6058 |
アゴラ行政書士事務所の建設業業種追加サポート
これまで見てきたように、建設業許可の業種の追加には新規許可に匹敵するくらいの時間と労力がかかります。
多くの要件をクリアし、大量の書類を集め、大量の書類を作成しなければならず、仕事の合間に手続きをするのは難しいという方も多くいらっしゃいます。
建設業許可の維持管理を行政書士に外注したいと考えている方もいらっしゃいます。
当事務所では、そんな福島県の建設事業者様の業種追加のお手伝いをしておりますので、お困りの方はぜひ一度ご相談ください。
サービス料金について
当事務所の業種追加のサポート料金については、次のようにさせていただいています。
料金のお支払いは原則的に前払いをお願いしておりますが、それが難しい場合には半額の着手金をいただき、許可取得後に残金をいただくことも可能です。
サービス | 料金(税別) | 申請手数料(証紙代) |
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建設業許可業種追加 | 7万円~(1業種) | 5万円 |
※上記の料金の他に、証明書類発行料等の実費をいただきます。
ご相談について
実際にご依頼をいただく前の相談については、一切料金はいただきません。
二本松市・本宮市・大玉村・福島市・郡山市のお客様については、無料にて出張相談対応中です。
建設業許可の業種の追加に必要な資料は御社に保管されているため、できる限り早く、そして確実に申請ができるよう、お伺いの上で要件をしっかり確認させていただいております。
土曜日は通常営業により、日曜日には事前の連絡により対応しています。
お問い合わせお待ちしております。