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福島県で入札参加をお考えの方へ【経営事項審査の概要】

こんにちは。
福島県の特定行政書士、佐藤勇太です。

先日(2月13日)深夜に起きた震度6強の福島県沖の地震は、県内各地で建物や道路などの損壊をもたらしました。

車を走らせると、あちこちでその復旧作業にあたっていらっしゃる建設作業員の方々の姿を見かけます。
建設業は地域に根差した産業であり、「地域の守り手」として重要な役割を担っていることに改めて気づかされました。

さて、道路などの公共の施設についての建設工事は、国や地方自治体(県や市町村)が発注者となりますが、それを受注するには一定の手続きを踏むことが必要です。

この記事では、公共工事の入札に参加するまでの一連の流れを確認し、経営事項審査(経審)について解説しています。
特に、これから経審を受け、入札に参加しようと検討されている建設業者様に向けて書きました。

入札参加までの手続きの流れ

舗装工事現場

福島県や県内の市町村が発注する公共工事は、原則的に競争入札によって受注者が選定されますが、建設業者様が入札に参加するためには、経営事項審査を受けておく必要があります。

その前提として、建設業許可を取得しておかなければならず、事業年度終了後には「決算変更届」を提出しておくことも必要です。

福島県知事許可の場合、建設業許可取得から入札参加までの標準的な流れは次のようになります。

  1. 建設業許可の取得する
    建設業許可については、こちらの記事をご参照ください。
    福島県で建設業許可の取得をお考えですか?
  2. 建設事務所に「決算変更届」を提出する(事業年度終了後4か月以内)
  3. 「経営状況分析」を登録経営状況分析機関に依頼する
  4. 知事に対して、「経営規模等評価」の申請を行う
    通常は、「総合評定値請求」の申請も同時に行います。
  5. 各自治体に対して、「入札参加資格審査」の申請を行う
  6. 入札に参加できる

02.と03.については、順番が前後しても構いません。
「経営規模等評価」の申請を行う時点で、「決算変更届」が提出されていて、「経営状況分析」の結果通知書が届いていることが必要です。

経営事項審査は、一度受ければよいというものではありません。
経営事項審査には有効期限があり、審査基準日(決算日)から1年7か月の間に限られています。

このため、毎年続けて公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者様は、審査基準日から1年7か月間の“公共工事を請け負える期間”が切れ目なく継続するように、毎年定期的に経営事項審査を受ける必要があります。

また、「入札参加資格審査」は、自治体によって日程や有効期限が異なります。
継続的に入札に参加しようとする場合、スケジュール管理がとても重要になります。

※福島県における経営事項審査は、現時点(令和3年2月)では新型コロナウイルス感染症対策のため、対面での審査が行われておらず、「郵送提出・書面事前審査」の体制がとられています。

経営事項審査の概要

公共工事を発注する自治体は、入札に参加を希望する建設業者の審査を行い、その審査をもとに建設業者の格付け(Aランク、Bランク…)をします。
そして、発注する建設工事ごとに、入札に参加できるランクが指定されます。

格付けは、客観的な事項と主観的な事項(自治体ごとの評価)によって行われますが、このうちの客観的な事項を審査するのが経営事項審査です。

経営事項審査の審査項目は、経営規模(Ⅹ点)、経営状況(Y点)、技術力(Z点)、社会性など(W点)を次の計算式に当てはめて算出します。

総合評定値(P)=0.25X₁+0.15X₂+0.2Y+0.25Z+0.15W

経営事項審査のうち、Y点を算出する手続きが「経営状況分析」であり、X点、Z点、W点を算出する手続きが「経営規模等審査」になります。

経営状況分析(Y点)について

経営状況分析の点数(Y点)は、建設業者の財務内容を決算書(財務諸表)の数値によって評価したものです。
決算書の数値が同じであれば誰が実施しても同じ結果となり、客観性が高いため、国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関に処理が委託されています。

現在、10の機関が登録されていますが、どの分析機関に依頼しても点数は同じになります。
(依頼の方法、必要書類、手数料については各分析機関によって違いがあります。)
経営状況分析については、福島県に問い合わせをしても対応できませんので、依頼先の機関に直接お問い合わせいただくことになります。

総合評定値(P点)のうち、Y点の占める割合は20%です。
当たり前のことかもしれませんが、負債(借入)は少ないほど良いですし、利益を出して経費を削減すれば点数は高くなります。

経営規模等評価について

経営規模等評価は、福島県知事許可の建設業者様であれば福島県知事に対して申請を行います。
申請書類の提出窓口は、本社の所在する市町村を管轄する各建設事務所となります。

経営規模等評価では、経営規模(X₁点、X₂点)、技術力(Z点)、社会性など(W点)について、点数が算出されることになります。
それぞれの審査項目について簡単に解説を加えます。

経営規模(X₁、X₂点)

X₁は、完成工事高です。
完成工事高は消費税抜きで計上するのがルールです。
(消費税免税業者は税込みで計上します。)

許可を受けた建設業の業種ごとの年間平均完成工事高(申請日の直前2年または3年平均)を審査します。
平均完成工事高の基準を2年平均にするか3年平均にするかは申請者が選択します。

総合評定値(P点)のうち、X₁点の占める割合は25%です。
当然のことながら、金額が大きいほど点数は高くなります。

完成工事高については、「完成工事高の積み上げ」という考え方がありますが、これについて後ほど説明を加えます。

X₂は、自己資本額と平均利益率です。
自己資本額とは、貸借対照表上の純資産の額のことです。

X₂=(自己資本額+平均利益率)÷2

自己資本額は直前の決算額か直前2期の平均から選択することとされています。そして、平均利益率は直前2期の平均値です。
総合評定値(P点)のうち、X₂点の占める割合は15%です。

毎年の利益を積み重ねることで自己資本額は大きくなります。
利益を出すということは法人税を支払うことを意味しますので、公共工事を受注していくためには納税も必要ということなのかもしれません。

技術力(Z点)

Z点は技術職員の数と元請完成工事高によって審査されます。

対象となる技術職員と加点される点数は次の通りです。

区分点数対象者
1級監理受講者6点技術者を対象とする国家資格の1級又は技術士法に基づく資格を有し、 監理技術者資格者証を保有していて、かつ、監理技術者講習修了証を保有している場合
1級技術者5点技術者を対象とする国家資格の1級を有する者(上記1級監理受講者を除く)
技術士法に基づく資格を有する者(上記1級監理受講者を除く)
基幹技能者 等3点登録基幹技能者講習の修了者
CCUSレベル4技能者(*)R2年4月改正で追加
2級技術者 等2点技術者を対象とする国家資格の2級を有する者
技能者を対象とする国家資格の1級を有する者
CCUSレベル3技能者(*)R2年4月改正で追加
その他技術者1点技術者を対象とする国家資格の2級+実務経験を有する者
実務経験による主任技術者

なお、加点の対象となる技術職員は、基準日(直前の決算日)から遡って、6か月以上前から雇用されている者に限られます。
また、技術職員1人につき、加点できるのは2業種までです。

元請完成工事高を審査するのは、元請としてのマネジメント能力を評価するためです。
完成工事高と同じく2期平均か3期平均で選択できます。
工事完成工事高と元請完成工事高の2期平均、3期平均は合わせる必要があります。

総合評定値(P点)のうち、Z点の占める割合は25%です。

社会性など(W点)

社会性などのその他の審査項目にについて、以下の点について評価され、定められた算式に従ってW点が算出されます。

  • 労働福祉の状況 
    →社会保険加入、建退共、法定外労災への加入の有無のことです。
  • 建設業の営業継続の状況 
    →営業年数のことです。
  • 防災活動への貢献の状況 
    →自治体との防災協定締結の有無のことです。
  • 法令遵守の状況 
    →営業停止、指示処分の有無のことです。
  • 建設業の経理の状況 
    →監査の受審状況、公認会計士等の数のことです。
  • 研究開発費の状況 
    → 研究開発費(2期平均)のことです。
  • 建設機械の保有状況 
    →建設機器の所有及びリース台数のことです。
  • 国際標準化機構が定めた規格(ISO)への登録の状況 
  • 若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況
    →若年労働者の継続的な育成、新規労働者の育成および確保の状況のことです。

様々な観点から総合的に評価がなされることが分かります。
建退共への加入、防災協定の締結などは比較的短期間に点数を上げられる項目だと言えます。

総合評定値(P点)のうち、W点の占める割合は15%です。

完成工事高の積み上げについて

足場の解体工事

完成工事高の積み上げとは、1つの建設業の建設工事の完成工事高を、その内容または性質に応じて、他の建設業の完成工事高に含めて申請することです。
専門工事を一式工事に参入する方法と専門工事同士を振り替える方法の2種類があります。

どうしてこのような申請が認められているのでしょうか。

例えば、実際の工事実績としては舗装工事が多いのにもかかわらず、入札希望の工事が土木一式工事として発注される場合、そのまま土木一式工事の実績で経審を受けると格付けが下がり、受注に結び付かない可能性があります。
そのような場合、舗装工事の実績を土木一式工事へ積み上げることで、格付けが上がる可能性があり、受注の可能性も高めることができるからです。

専門工事の一式工事への算入

審査の対象となる建設業が土木工事業または建築工事業(一式工事業)である場合、他に許可を受けている建設業のうち一式工事業以外の建設業(専門工事)の完成工事高を、その内容に応じて一式工事業に含めることができます。

積み上げ先の一式工事積み上げ元の専門工事
土木一式工事土木工作物の建設に関連する工事
(とび・土工・コンクリート、石、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、舗装、しゅんせつ、水道施設、解体など)
建築一式工事建築物の建設に関連する工事
(大工、左官、とび・土工・コンクリート、屋根、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、建具、解体など)

専門工事間の振替

審査の対象となる建設業が一式工事以外の建設業である場合、許可を受けた建設業のうち一式工事以外の建設業の完成工事高を、その建設工事の性質に応じて審査対象建設業の完成工事高に含めることができます。
一般的な事例は次のとおりです。(福島県の資料より)

電気工事電気通信工事
管工事熱絶縁工事
とび・土工・コンクリート工事石工事・造園工事

完成工事高の積み上げに関する注意事項

積み上げを行う際には、以下の点について注意する必要があります。

  • 積み上げ(振り替え)を行うには、積み上げ元(振替元)両方の建設業許可が必要です
  • 積み上げを行った業種(振替元)については、経営事項審査を申請することができません
  • 発注者の中には積み上げ先(振替先)の業種で経営事項審査をうけたとみなさない場合があり、公共工事の入札に参加できないことがありますので、事前の確認が必要です
  • 審査対象年度に参入(振替)をした場合、前年度、前々年度も同じような処理をします
  • 積み上げを行った業種(振替元)の工事の裏付け資料(契約書等)を提示する必要があります

標準審査期間と手数料

福島県における経営規模等評価の標準処理期間は、申請書類が受理されてから結果通知まで1か月程度とされています。
※分析機関に依頼する経営状況分析については、各機関によって若干の違いがありますが、書類に不備がなければ、2~3日で結果が通知されます。

経営規模等評価の申請にかかる手数料は、審査対象となる建設業の業種が1業種の場合は10,400円で、これに1業種追加するごとに2,300円が追加されます。
また、総合評定値請求にかかる手数料は、審査対象業種が1業種の場合は600円で、1業種追加ごとに200円が加算されます。
これらの手数料は、福島県収入証紙を貼付することによって納入します。

アゴラ行政書士事務所の経営事項審査サポート

これまで見てきたように、入札に参加するためにはまず、経営事項審査というハードルを越えなければなりません。
そのための準備や申請の手続きも決して簡単はありません。

しかしながら、皆様ご存じのように、公共工事を受注するメリットには次のようなものがあるとされています。

  • 景気の影響を受けないので、安定した売上が期待できる
  • 規模の大きな工事に参加し、自社をアピールすることができる
  • 工事代金が現金で支払われるので、貸し倒れの心配がない
  • 地元の工事を優先的に受注することができる

なかなか魅力的なメリットではないでしょうか。

アゴラ行政書士事務所では、福島県で経営事項審査を受けようとする建設業者様のサポートを承ります。
サポート料金は以下のように設定しております。

サービス料金(税込)申請手数料
決算変更届35,000円~
経営状況分析申請30,000円~13,000円程度
経営規模評価申請70,000円~11,000円
(1業種の場合)

ご相談については無料で対応しておりますので、どうぞお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。