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福島県で農業法人の設立をお考えですか?

福島県で農業法人の設立をお考えですか?

こんにちは。
福島県の特定行政書士、佐藤勇太です。

日本の農業は家族経営や兼業農家によって支えられてきましたが、近年は経営の法人化が進んでいます。
その背景には、農業従事者の減少や高齢化、耕作放棄地の増加などの課題があり、農業経営の規模拡大や法人化が政策として行われています。

従来の家族経営などの経営形態は、今後も日本の農業の一翼を担っていくものと思いますが、成長産業としての農業を考える際には、法人化は有効な手段とされています。

おそらく、農業経営の法人化を検討する皆様は、以下のようなお考えをお持ちだろうと思います。

  • 経営規模を拡大したい
  • 後継者や労働力を確保したい
  • 経営の多角化(6次化)を行いたい
  • 信用力を向上させたい
  • 経営継承を円滑に行いたい
  • 経営管理をしっかりと行いたい

法人化の動機は様々だと思いますが、法人設立にあたっては、短期的なメリットだけではなく、長期的なビジョンや目的意識を持って行うことが必要です。

この記事では、農業経営を法人化するための手続きや農地を所有したり、賃借したりする場合の要件について解説しています。
農業経営を法人化したいとお考えの方や、新規に農業に参入したいとお考えの法人様に向けて書きましたので、最後までお読みいただければと思います。

農業経営を法人化するメリット

後ほど解説しますが、法人として農業経営を行う方法には、農地所有適格法人として農地を所有して行う方法と、平成21年改正農地法を活用して農地を賃借して行う方法があります。

そして、農地所有適格法人を設立する方法としては、株式会社などの会社法人を設立する方法と、農事組合法人を設立する方法があります。

ここではまず、法人として農業経営を行うメリットについて簡単に解説します。
法人化のメリットには、経営上のメリットと制度上のメリットがあります。

経営上のメリット

農業経営を法人化する経営上のメリットとしては、➀経営管理能力の向上、②対外信用力の向上、③人材の確保・育成、④経営承継の円滑化 が挙げられます。

経営管理能力の向上

家計と経営が明確に分離されるので、経営の状況がより明確になります。
経営者としての責任を持つことにより、経営管理能力が向上する効果が期待されます。

対外信用力の向上

経営状況が数字として客観的に表され、登記や経営報告などの義務が生じるので、金融機関や取引先に信用力を示すことができるようになります。
また、「企業」として認知されるので、商品取引や従業員の雇用などが円滑に行われるようになることが期待されます。

人材の確保・育成

労働環境が整備され、従業員の待遇が向上されることにより、人材不足の解消が期待できます。
法人に就職することで、初期負担なしに農業技術の習得が可能になるので、新規就農者の確保が容易になります。

経営承継の円滑化

法人の役員や社員の中から、有能な者を後継者として確保することができるようになります。
事業承継がスムーズに行われることにより、対外的な信用力が維持されます。

制度上のメリット

農業経営の法人化における制度上のメリットとしては、➀税制面での優遇、②社会保障制度、③制度融資、が挙げられます。

税制面での優遇

法人税が適用されることにより、節税効果が期待できます。
法人税は、役員報酬や給与を引いた後の利益について課税されます。
個人事業主に適用される累進税率は、所得が多いほど高くなりますが、法人税は2段階の定率課税となります。

社会保障制度

社会保険(雇用保険、健康保険、厚生年金)、労働保険が適用されるので、農業従事者の福利厚生の向上が期待できます。
就業規則の整備、給与制の導入により、就業条件が明確になります。

制度融資

融資限度額の拡大などにより、多額の資金を集めやすくなります。

法人化のデメリット

もちろん、以下に示すように、法人化によって生じるデメリットも存在します。
福島県郡山市のホームページより引用いたします。

  • 設立時及び会社の維持に費用と手間がかかる
  • 納税猶予の適用を受けている場合は、農地の権利を法人に移転すると、納税猶予が打ち切りになる(一部例外あり)
  • 経営移譲年金の受給者は構成員になった時点で経営移譲年金が支給停止になる
  • 新農業者年金の特例付加年金の受給者は、農業に常時従事することで、特例付加年金が支給停止になる
  • 農業者年金の被保険者は加入資格が喪失する
    (厚生年金との通算制度があり)

農業法人を設立するには

ここからは、個人事業主として農業を営んでいる方が、法人を設立する手続きについて解説していきます。

農業経営を法人化するためには、株式会社などの会社法人を設立する方法と農事組合法人を設立する方法があります。

家族経営を法人化する場合には、株式会社を設立するのが一般的ですが、仲間と一緒に法人化を目指す場合や、集落営農を法人化する場合には、農事組合法人を設立するという選択肢も考えられます。

株式会社の設立

株式会社などの会社法人は、「営利法人」と呼ばれ、会社法という法律に基づいて設立される法人です。
営利法人は、商行為その他の営利行為を行う法人、つまり利益(儲け)を追求する法人です。

従来、株式会社が農地を所有することは、農地法によって厳しく制限されていましたが、近年はかなり要件が緩和されています。
また、農地を所有せずに、賃借権を設定することで農業経営をすることも可能になっています。

後ほど改めて解説しますが、農地所有適格農人として農地を所有するには、株式会社は非公開会社の形式を採らなければなりません。
非公開会社とは、すべての株式に株式譲渡制限があることが定款で定めれれている会社のことです。
この規定があると、株式を誰かに譲渡するためには、会社の承認が必要になります。

株式会社(非公開会社)の設立手続きは以下のような流れに沿って行われます。

  1. 会社の基本的な事項の検討
  2. 定款の作成と公証人の認証
  3. 出資の履行
  4. 設立時取締役等による調査
  5. 設立時代表取締役の選定
  6. 設立登記の申請
  7. 関係官公署等への届出

農事組合法人の設立

農事組合法人とは、農業協同組合法で定められた法人で、その組合員の共同の利益の増進を目的とする法人のことをいいます。

農事組合法人が行うことができるのは、➀農業の経営、②林業の経営、③農畜産物の貯蔵、運搬または販売、④農業生産に必要な資材の製造、⑤農作業の受託 に限定されます。
つまり、農業に関係のない事業を行うことができないという点で、株式会社と異なっています。

また、農事組合法人の構成員となることができるものは、原則的には「農民」に限られています。
農事組合法人の設立に際しては、3人以上の「農民」が発起人となることが求められます。
(農業協同組合法における「農民」とは、自ら農業を営み、または農業に従事する個人のことを指します。)

農事組合法人については、➀設立時の定款認証・登録免許税が不要になる、②農業事業に対する事業税が非課税になる、などの税制面での優遇はありますが、農業協同組合法による様々な制約がありますので注意が必要です。

農事組合法人を設立する方法は、集落営農を法人化したり、家族経営を法人化したりする場合に使われます。

農林水産省による調査(2020年農業センサス)によれば、法人化している農業経営体の数は約3万1千、そのうち会社法人が2万、農事組合法人が7千となっています。

農地所有適格法人とその要件


法人が農業を行うためには、農地を所有するか貸借する必要がありますが、農地を所有するためには、「農地所有適格法人」の要件を充たさなければなりません。

農地を所有できるかどうか、つまり農地所有適格法人であるかどうかの審査は、農地法3条の許可申請の前提として行われるもので、単独で審査されることはありません。
農地所有適格法人の要件は、農地法第2条第3項によって規定されています。

農地所有適格法人の要件は、法人形態要件、事業要件、議決権要件、役員要件の4つです。

法人形態要件

農地所有適格法人として認められるのは、次のいずれかの組織形態に限られています。

  • 株式会社(非公開会社に限る)
  • 持分会社(合同会社、合名会社、合資会社)
  • 農事組合法人(2号法人に限る)

これら以外の法人、例えば上場株式会社、NPO法人、一般社団法人、宗教法人、学校法人などは農地所有適格法人になることはできません。

事業要件

農地所有適格法人は、その主たる事業が農業または農業関連事業でなければなりません。
主たる事業であるかどうかについては、直近3年の農業(関連事業を含む)の売上高が、法人の事業全体の過半を占めているかどうかによって判断されます。

農業関連事業に該当する事業とは、以下の事業とされています(農地法施行規則第2条)。

  • 農畜産物の貯蔵、運搬または販売
  • 農業生産に必要な資材の製造
  • 農作業の受託
  • 農村滞在型余暇活動に利用されることを目的とする施設の設置・運営
  • 農村滞在型余暇活動を行う者を宿泊させることなどの必要な役務の提供

    「農村滞在型余暇活動に利用されることを目的とする施設」とは、観光農園や市民農園など主として都市の住民が宿泊・休養するための施設やこれらの施設内に設置された販売施設のことをいいます。

構成員要件(議決権要件)

構成員とは、株式会社の株主、持分会社の社員、農事組合法人の組合員のことであり、法人に雇用されている従業員は構成員には該当しません。

農地所有適格法人として認められるには、「農業関係者」の議決権が総議決権の1/2を超えている必要があります。
農業関係者とは、➀農地の権利提供者(農地を提供した個人など)、②農業の常時従業者(原則、年間150日以上農業に従事)、③農作業委託農家(法人に農作業を委託する個人)のことをいいます。

従って、農業関係者以外の構成員が保有できる議決権は、総議決権の1/2を超えることはできません。
構成員要件は、平成28年の農地法の改正により大幅に緩和されました。

役員要件

農地所有適格法人の役員の過半は、農業(関連事業も含む)に常時従事する構成員であることが必要です。
それに加えて、役員または重要な使用人(農場長など)のうち、1人以上が「農作業」に原則60日以上従事しなければなりません。

ここでいう農作業とは、耕うん、整地、播種(種まき)、施肥、病害虫防除、水の管理などの耕作・養畜の事業に直接必要な作業をいい、帳簿の記帳事務や集金などの間接的な作業は含まれません。

また、農林水産省の通達によれば、代表取締役や代表理事などの法人の代表者は、農業の常時従事者であることが望ましいとされています。

農地の賃借等による農業参入

ここまで、農地所有適格法人以外の法人は、農地を所有することはできないと解説してきました。
その結論に変わりはないのですが、法人が農業を行う際には、農地を借りて行うという方法も考えられます。

NPO法人などの農地所有適格法人になれない法人でも、この方法を用いることで、農業を営むことができる可能性があります。

実は、平成21年に農地法の改正があり、企業(法人)の農業参入へのハードルが大きく下がりました。
ここでは、農業に新規に参入すようとお考えの法人様に向けて、農地を借りて農業を営むための要件について解説したいと思います。

法人が農地賃借権を取得するための要件

法人が農地の賃借権を取得するための要件は、農地法第3条第3項によって規定されています。
以下の3つのすべての要件を充たした法人のみが、平成21年度改正による農地の権利移動緩和の対象となります。

  1. 農地を適正に利用していない場合に貸借を解除する旨の条件が契約に付されていること
  2. 地域における他の農業者との適切な役割分担の下に、継続的かつ安定的に農業経営を行うと見込まれること
  3. 業務執行役員または重要な使用人(農場長等)のうち一人以上の者がその法人が行う耕作または養畜の事業(企画管理労働等を含む)に常時従事すること

要件に該当するかどうかの判断基準

福島県の農地法関係事務処理の手引によれば、上記の3つの要件に該当するかどうかの判断基準は次のようになっています。

  1. について:この要件を担保するために、法人は事業年度終了後ごとに、農地の利用状況を農業委員会に報告する義務を負います。
  2. について:「適切な役割分担の下に」とは、例えば、農業の維持発展に関する話合い活動への参加、農道、水路、ため池などの共同利用施設の取決めの遵守、獣害被害対策への協力などをいいます。
    これらについて、例えば、農地について賃借権を取得しようとする者は、確約書を提出すること、農業委員会または都道府県知事と協定を結ぶことなどが考えられます。

    「継続的かつ安定的に農業経営を行う」とは、機械や労働力の確保状況などからみて、農業経営を長期的に継続して行う見込みがあることをいいます。
  3. について:業務を執行する役員または重要な使用人のうち、1人以上の者が、その法人の行う耕作または養畜の事業の担当者として、農業経営に責任をもって対応できるものであることが担保されていることが必要となります。

アゴラ行政書士事務所の農地関連サポート

説明する行政書士

農業経営の法人化の方法や手続き、法人が農地の権利を取得するための要件について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
何かしらのお役に立てたとしたら、とても嬉しく思います。

アゴラ行政書士事務所では、農地所有適格法人や農事組合法人の設立のサポート、そして農地の権利を取得するための農地法3条の許可申請を主要業務として行っています。
サポート料金は次のとおりです。

サービス料金(税込)
農業法人の定款作成・認証60,000円~
農地法3条許可申請50,000円~

農地法に関連して、農地転用許可申請(農地法4,5条申請)についても、申請手続きを代理いたします。
※農地転用については、こちらの記事をご参照ください。
福島県における農地転用許可申請の手続きについて

農地転用の料金については、次のようにさせていただきます。

サービス料金(税込)
農地法4条許可申請70,000円~
農地法5条許可申請70,000円~

二本松市、本宮市、福島市、郡山市、大玉村においては、交通費(日当)無料で対応させていただきます。
どうぞご相談ください。