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経営業務管理責任者は他の会社の役員を兼任できるのか?

福島県の行政書士、佐藤勇太です。

建設業許可の事務は、地方自治法に規定された自治事務ですので、都道府県は法令の範囲内で独自の許可の基準を設定することができます。

許可権者である都道府県知事は、法令で定められた許可要件に該当するかどうかを判断するための基準(審査基準)を定め、それを公表しておかなければなりません。

1 行政庁は、審査基準を定めるものとする。
2 行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
3 行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。

(行政手続法第5条)

そのため、他の都道府県で通用したことが、福島県では通用しないというのは決しておかしなことではありません。
(ただし、「担当者によって言うことが違う」というのは、審査基準が共有されていないわけですから、問題があると言えるのかもしれません。)

建設業許可で役所に提出・提示する書類には、申請書類と申請内容を確認するための書類(確認書類)がありますが、申請書類は建設業法施行規則で定められた様式があります。
様式は全国共通のものです。

しかしながら、申請内容が事実かどうかを確認する書類(確認書類)について、どんな書類が必要かなどは都道府県ごとの審査基準に依ることになります。
(もちろん、国がガイドラインなどを示すことはあります。)

前置きが長くなりました。
建設業許可において、経営業務管理責任者が他の会社の役員を兼任していてもよいかというご相談が寄せられることがあります。
この疑問をお持ちの方が他にもいらっしゃるだろうと考えましたので、記事にまとめてみました。

経営業務管理責任者に求められる「常勤性」とは?

経営体制

建設業許可の経営業務管理責任者等(適正な管理体制)の要件については、建設業施行規則第7条に規定があります。
説明に必要な部分のみを引用します。

イ 常勤役員等のうち1人が次のいずれかに該当する者であること。
1.建設業に関し5年以上年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
2.建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務を管理した経験を有する者
3.建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者

そして、国土交通省の建設業許可事務ガイドラインにおいて、次のような解釈の指針が示されています。

「常勤役員等」とは、法人である場合においてはその役員のうち常勤であるもの、個人である場合にはその者又はその支配人をいい、「役員」とは、業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。

「役員のうち常勤であるもの」とは、原則として本社、本店等において休日その他勤務を要しない日を除き一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事している者がこれに該当する。

重要なのは下線を引いたところで、これが「常勤性」の内容を示したものです。
福島県の建設業許可申請の手引きにもこれが引用されています。

そして、➀どのような基準を充たした場合に「常勤性」があると判断するのか、②それをどのような書類で確認するのか、などについては、許可権者である福島県が定めることになります。

福島県の「常勤性」の判断基準

人間は身体を分割できないため、複数の会社に常勤しているということは考えられません。
2つの会社で役員になっている場合、どちらか一方で常勤であれば、もう一方では非常勤になるのが通常です。

ですので、建設業許可を申請しようとする会社で常勤の役員であることを疎明(証明)する場合、兼任先は非常勤であることが当然であり、その確認が必要になります。

代表権のない取締役(ヒラの取締役)の場合、申請会社での常勤性と兼任先の非常勤性を書面で疎明(証明)することができれば、経営業務管理責任者として認められます。
兼任先の非常勤性を確認する書類としては、兼任先が発行する「非常勤証明書」などが考えられます。

問題となるのは、代表取締役の場合です。
ほとんどの企業では、代表取締役は1人だと考えられますが、この代表取締役が非常勤だとしたらどうでしょうか。

福島県の手引きには、次のような記載があります。

「別会社に代表取締役が複数いる場合を除き、別会社で非常勤であっても、代表権を持つ者として業務を執行しているはずであり、許可を受けようとする会社における常勤性が確保されているとは言えないため、認められません。」

代表取締役が1人である場合、その代表取締役は他の会社の経営業務管理責任者になることができないことが明確に述べられています。
しかし、世の中には共同代表という体制をとる会社もありますので、代表取締役を複数にすることも不可能ではありません。

既存の会社に代表取締役が2人いたとして、そのうち1人が非常勤だった場合、非常勤の代表取締役を申請会社の経営業務管理責任者にすることは可能でしょうか。

このような特殊なケースにおいては、具体的な事例によって常勤性・非常勤性の確認書類が異なることも考えられます。

当然のことですが、確認書類は申請内容が事実であることを疎明(証明)するものですので、事実が伴わなければなりません。
そして、事実を疎明(証明)する書類は1つではありません。

手引きには、常勤性を確認する書類は例示されていますが、非常勤性を疎明(証明)する書類については記載がありません。
しかし、役所内においては、統一された判断基準(審査基準)がありますので、その基準を充たすような書類を準備することになります。

行政書士は、単に手引きに載っている書類を揃えるだけでなく、役所が事実を確認できるような書類を、申請者の立場から提案するような役割も担っています。

※経営業務管理責任者等(適正な管理体制)の要件については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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